【成り立ちと背景】
ヒップホップダンスは1980年代にアメリカで誕生し、リズムのグルーヴを大切にしたステップを中心に発展してきました。その後、日本においても1990年代以降ストリートダンス文化が拡大し、ヒップホップのスタイルは急速に広がりました。
その流れの中で、単に「ヒップホップの基本ステップ」を踊るだけでなく、R&Bやトラップ、ネオソウルなど多様な音楽に合わせ、**「音楽をどう感じ、どう解釈し、どう自分らしく表現するか」**が重視されるようになります。こうしたムーブメントの中で、ジャンルを超えて自分のスタイルを構築するダンサーたちが増え、「スタイルヒップホップ」という言葉が生まれました。
【ジャンルとしての特徴】
1. 自由な表現性
スタイルヒップホップは、振付においてもフリースタイルにおいても、「自分らしさ」が何よりも重要視されます。たとえば、動きの中にジャズやハウス、アフロ、コンテンポラリーの要素を取り入れたり、身体表現に感情を込めたりすることが自然に行われます。
2. 選曲と音ハメ
多くのスタイルヒップホップでは、テンポの遅いR&Bやトラップ系のビートを用いることが多く、ダンサーはビートの隙間を感じ取るように動き、歌詞の意味やメロディの抑揚に合わせて表現することが求められます。「音ハメ」や「歌詞取り」と呼ばれる技法が多用され、音楽と身体が一体となったような印象を与えます。
3. 個性と“らしさ”
「スタイル」という言葉が示すように、このジャンルでは服装、所作、姿勢、間の取り方など全てが“その人らしさ”として評価される傾向があります。見せ方・魅せ方まで含めて「ダンス」として完成させることが、スタイルヒップホップの魅力の一つです。
【レッスン・コンテストにおける扱い】
スタイルヒップホップのレッスンでは、まずヒップホップの基礎(リズムトレーニング、アイソレーション、基本ステップ)を押さえた上で、振付やフリースタイルで「音楽と自分のスタイルをどう融合させるか」を重視して進めることが多いです。
コンテストでは、技術力だけでなく、選曲や世界観の表現、身体の使い方、感情表現、オリジナリティの強さなども審査の対象になります。単に「うまい」だけでなく「印象に残る」「心を動かす」ダンスが評価される点が、スタイルヒップホップならではの魅力です。